2013年2月4日月曜日
竹内三、内務省作成の四文書について
三、内務省作成の四文書について
次に、杉原レポートの②の内容(内務省が作成した四
つの文書を検討したもの)について簡単に触れておきたい。
まず、杉原氏がこの②の結論部分で「太政官が判断材
料として内務省から受け取った資料が上記の通りである
とすると・・」(中間報告書、p14)としているのは誤
りである。
内務省から太政官への上申書(「伺」)の本文中に「竹
島所轄之儀二付島根県ヨリ別紙伺出取調候処・・」とあ
るように、太政官への上申書には、内務省で独自に調査
した付属文書(「竹嶋紀事」からの抜粋)の他に、本稿
前節で検討した島根県から内務省への上申書が添えられ
ていたのである。
島根県が、内務省に上申書を提出する際、発端となっ
た内務省(地理寮)から島根県への照会を筆写して添え
たように、この種の公文書は、関係機関の新たな書類を
追加しつつ判断に必要な書類を漏らさず決裁される機関
まで伝送するのが常であった。そして途中の各機関では、
文書の原本やその写(筆写した文書)を保管し、後日送
られて来るはずの回答・指令やその他の照会・調査等に
備えたのである。
したがって杉原レポートが「(この内務省の上申書を
受けて)太政官は、鬱陵島が日本に関係ないと指令を出
した可能性が濃厚である」と述べているのは、結論だけ
見れば誤りとは言えないが、そこに至る過程(前提)に
は間違いを含んでいるといえる。ここでは、太政官は島
根県と内務省から上げられてきたすべての書類を総合的
に判断して「竹島外一島」は「本邦関係無之」と結論づ
けたと、考えるべきなのである。
なお、明治九、一〇年の島根県や内務省の上申書の本
文、それを受けた太政官の稟議書では「竹島」「竹島外
一島」「本島」「該島」などの表現が用いられており、杉
原レポートにある「竹鳥、松島則鬱陵島」(中間報告書、
p14)のような「鬱陵島」を直接名指した(使用した)
表現は使われていない。
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